壁にタイル代わりのアイビー
. 我が家は南向きの斜面に鉛筆のように<立って>います。
.前の路地とは段差があって2メートル前後のコンクリートの
.壁があります。その上に建てたのですが予算の都合でむき
.出し、でこぼこ、つぎはぎのブラックジャックの顔状態になって
.しまいました。
. お金をかけずにきれいにしたい。モルタルのように汚れて
.塗り直しなんてのは、面倒という事でアイビーにしました。
ただ少し時間はかかります。壁面の真ん中あたりにある水抜きの
穴から生えてきた一本のアイビーが伸びて3年目です。
家を建て替えるときに元々生えていたアイビーとツタは、大工さんに全部
散髪されてしまったのですが、土の中に残っていた根っこががんばって、
小さな穴から顔を出したのです。死んだと思ったペットが帰ってきたような、
とてもラッキーな気分でした。 アイビーは、一本一本が意志を持って伸びて
いるように感じられます。壁をツタうやつはよく見ると気持ちの悪い、
.左の写真のような触手を出してくっつきます。基本的には
.上に向かって伸びるのですが自分の立場を理解して、
.横に伸びるやつや、下に向かって伸びるのもいます。
 上からぶら下がって伸びるのは、触手なしですっきりとした
.体型のまま下に向かいますが、地面近くで上向きに反り返
ります。彼らに任せておけば、勝手に役割分担して全体に広がっていき
ますが、こちらの希望にできるだけ早めになっていただくために、ちょっと
だけ手伝ってやります。

 割れた瓦の補修用テープをホームセンターで買ってきて、
先端を希望の方向に固定します。しかし強情なやつもいて、
言うこと聞かず自らの決めた方向をかたくなに守ろうとする
場合もありますが、頭に来てちょん切らないようにしましょう。
そのときは素直なやつを捜して、何度かトライしましょう。
 垂れ下がって地面に届いたときは、少し上でカット。カットさ
れると手前で枝分かれしてまた伸びるので、何度か繰り返す
とかなりの下半身デブになります。放っておけば日陰になった
葉っぱが枯れるので、ボリュームは収まります。 壁のてっぺん
まで行ったやつは、テープで横向きにとめても言うことを聞かない
場合が多くカットカットしていれば、そのうち枝分かれしたのが横に
伸びて、上行きは忘れてくれることもあります。

 屋根の上建て替える前の我が家はツタで覆われていました。
.正しくは.ツタのネットで補強してあったと言え
.ます。左の写真は屋根の.上です。築30年、
.中古ではなく大古で、畳の上の鉛筆が勝手
.に転がったり、柱と壁の隙間から室内にツタが
.伸びてきたりしましたが、そのおかげで快適
でした。瓦の割れやズレは、セメ.ントで補修し、
その上を彼らが覆ってくれたので台風で飛ばさ
れることもなく、夏の暑さに焼けることもありませんでした。

玄関脇の壁は、断熱材なしの金属製だったためむき出しでは、
一日中、陽が当たるボロ家が真夏に焦げるのは確実。何株か
生えていたツタを手入れして、這わせました。 これは日本の
ツタで甲子園と同じ種類です。アイビーとの違いは、冬に枯れ
ること、花が咲いて種ができるので、状況によっては爆発的に
増えること。そして葉っぱは、面積もでかいが、態度もでかいと
言うことです。 それぞれの葉っぱが、自分が一番陽に当たる
ようにと競争で茎を伸ばし、壁と葉っぱの面が15pほども離れ
たりするので、夏の日除けとしては、好都合です。 植物も動物
も日本古来の種はみんな控えめなので、ツタの厚かましさと生命力
は何か異質です。ひょっとしたらやはり大陸からの外来種で、ちょっと
だけ早く来ただけなのかも知れません。 ステラウロスに聞いて
みましょう。
ツタを這わせると壁が傷むと言いますが、もちろん当然のことです。
あの触手のようなのは、金属の焼き付け塗装にも食い込みます。
引き剥がすと塗装が剥げるし、モルタルは表面が風化したように
もろくなります。しかしそのままにしておくなら、雨風太陽の攻撃を
防いでくれるので、壁に衣服を着せたようなものです。
塗り替える必要のある部分には不適当でしょう。
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