レポートその3

ジベレリンについて<果実をたくさん実らせる薬>

 ジベレリンについて ブドウやサクランボなんかの実のなる物を植えても、なかなか食べられるところまでたどり着けない。ところがこのジベレリン、通称ジベを使えば、どんな実もしっかり落ちないでびっくりするほどなる。数が多すぎて一つ一つが小さくなることもあるので、摘花の必要があるほど。 
 農家出身の人に聞いたらみんな知っていたのに、町の人間は、あまり知らない。園芸店にも売っていない。つまりこれは素人には内緒なのかも知れない。 
 ジベレリン明治、農林水産省登録第6004号を手に入れるには、農協に勤めている人か農家の人に分けてもらうしかないが、なんかプロはずるいような気もする。
 ブドウ、イチゴ、トマト、なす、セロリ、それからチューリップやさつきまで、種なしにしたり実を大きくしたり、恐ろしいような効き目である。
 さてこの薬を手にして、使うべきかどうか悩んでしまった。生活のために収入が必要な農家の人には、使うべき必然性がある。しかし趣味で植えた植物に、この魔法はタブーじゃないのか。甘くてぎっしり詰まったブドウは、果物屋で買った方が安上がりだし、草野球チームが金銭トレードをするような感じもする。 春になってサクランボの花が咲きそうになったとき、薬に手を出さない意志を保てるかどうか 俺が草や木を植えているのは、何のためなんだと、哲学にはまりこんでしまう元がここにある。
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